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2008.05.21

日経流通新聞

「注目高まるウィッグ 新しい自分、気軽に変身」

 

 今年度の芥川賞受賞作家、川上未映子さんの登場で多くの人たちが注目したのは、その華やかな風貌(ふうぼう)や経歴以上に、まるで帽子のようにかぶっていたウィッグ(かつら)ではないだろうか。近ごろはウィッグがファッションの新しいスタイリングアイテムとして注目され出した、と思っていた矢先に、まさにそれを裏付ける店を発見した。

 

 その名は「ラブズチェンジ」。人通りの多い福岡天神地下街やディアモール大阪に昨年から出店し始めた新しい店で、まるでアクセサリーショップのように気軽な店構えである。店内には前髪から後ろ髪まであるフルウィッグ、後頭部に付けてショートヘアの人でもモテ髪が楽しめるハーフウィッグ、自髪をお団子にまとめてそこにアップスタイルを楽しめる付け髪ウィッグ、後ろ髪に付けて髪の長さを演出する付け髪ウィッグ、様々な色を楽しむメッシュと全五種のウィッグが八百四十円~一万二千円で売られている。

 

 どれもごく簡単にワンタッチで付けられるので「じゃ、試しに」と鏡の前に座れば、ものの一分でショートの自分がリッチなロングヘアになったり、ふわふわなアップヘアに変身している。髪色も七種類もそろっているので、自髪に近い色が選ぶことができ、ナチュラルでお気軽、お手ごろプライスというなかなかの商品群だ。

 

 時計・めがねがTPOによって「着替えアイテム」になって久しいが、かつらというマイナーだった存在を、ファッション成熟化の中で「着替えアイテム」として商品進化をはかったのは老舗のフォンテーヌ(東京・新宿)である。目の付けどころがおもしろい。

 

 

(記:島村美由紀/日経流通新聞「なぜなぜ繁盛店」 2008年5月21日掲載)