不動産フォーラム21
鳥取に最後のゴディバが・・・
TVの話題で「チョコレートショップのゴディバが年内に鳥取県へ出店決定。ゴディバは1972年に日本に上陸以来42年目にして最後の鳥取出店をもって47都道府県に出店を果たす。現在日本の店舗は259店ある」という話が語られていました。なんだか引っかかる話題で気になったのです。「42年もかけて全国制覇を成し遂げたのか」「ヘェー、最近はもらってもさほど特別感を感じなくなったゴディバは259店もあるんだ…」「エッ!ゴディバって1972年の「瀬戸の花嫁」がヒットしたあの年、札幌で冬季オリンピックが開催されたあの年から日本にあったの!?知らなかった、見たコトなかったな庶民派の我が家では」なんて思いが瞬間に私の頭をかすめました。
このTVの話題には続きがあり、「ちなみに、スターバックスコーヒーは全国で約1,000店舗弱あるが、人口10万人当たり0.76軒が平均で、最も多いのは東京の1.97軒、2位は沖縄の1.28軒、少ないのは山口の0.14軒。家賃が高く若者が多い都市部に店舗が多い」とニュースキャスターが言っていました。たしか以前見たTV番組では「千葉と埼玉ではどちらが田舎か」というお題で、10万人当たりのスタバの数が千葉のほうが多いので埼玉は田舎であるという回答をだし、おもしろい比較だなと笑いました。スタバが都市度を測る新尺度になっているのですね。私が時々出張する長崎では県下のスタバは6軒のみ。国道沿いの立派なロードサイドショップもあり、若者の間ではドライブをしてスタバでお茶をするデートが人気だそう。東京では忘れかけているちょっとクラシックなデートシーンですね。
思い出してみるとファッション業界でも似たような感覚のものの見方があります。「店のブランド価格をさげないためには全国の都道府県と同じ47店舗にとどめておくのがミソ」という話です。本当かな?と思って調べてみると、誰もが知っている憧れのファッションブランドは40店舗台が主流でした。全国に存在を知らしめつつ、特別感を出していくのが1県に1店舗だけある(だけしかない)という絶妙な出店バランスのようです。また一世風靡したけれど今は下降線というファッションブランドの出店数は50店をオーバーしたケースで、「あの人も着ている、持っているあのブランド」はお洒落心をくすぐらなくなってしまうのですね。よく見かける店(品)とたまにしか見かけない店(品)では魅力度合が違います。
逆によく見かける店で価値をのあるコンビニストアは全国で47,000店あり、東京で暮らしているとセブンイレブン・ローソン・フアミリーマートを筆頭に様々なCVSが駅前から自宅まで競争のごとく軒を連ねて出店しています。特に近年セブンイレブンの勢いが強く関東地方では1万人に1.55店の比率だそうです。それが近畿地方では0.91店、四国では0.36店しかセブンイレブンはないのだそうですから、店に対する印象も地方によっては異なるものになりますね。西が手薄になっているセブンイレブンは、今後JR西日本、JR四国と手を結んで駅内出店を果たす計画を今夏発表しました。駅ナカキヨスクの代わりに出店して、交通機関を使う人々に一気に認知度と売上を上げていくそうです。人の行きかう交通拠点を押さえ交渉するセブンイレブンはさすが脱帽ですね。
そういえば鳥取に出店するゴディバは駅ビルの「シャミネ鳥取」に入るとネットに乗っていました。鳥取の人にとって待望のゴディバはオープンしたらしばらく長い行列が続くでしょう。
(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2014年10月号掲載)