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2022.11.01

不動産フォーラム21

食事づくりのストレスから解放される商品・サービス もっと欲しい‼

 

●多忙な女性の強い味方“ミールキット” 
 “ミールキット”は食材と調味料がセットになった料理キットで、共働きで多忙な家庭や子育てに追われる家庭で注目される食品領域です。ウェブサイトで手軽に注文・買い物に行く手間なし(宅配サービスが基本)・カット材料・調味料が混ぜてある・人数分量・生ゴミなしという商品で、キットが箱詰めで自宅に届き最後の加熱を説明書に従って料理するだけで超短時間に食事ができるというものです。まさに“時短”を求める女性や男性の家事参加にはうってつけの“時短キット”なのです。

 

 ミールキットは2013年オイシックス・ラ・大地が始めたビジネスで、女性の時短ニーズやコロナ禍の巣ごもり需要によって市場は1,600億円となり2024年には1,900億円にまで成長すると予想され、オイシックスに続きコープデリ、パルシステム、ヨシケイ開発、良品計画等多くの企業が参入し会員拡大を図っています。

 
 

●トライ&エラーで最適探求の賢い生活者
 知人のキャリア女性にミールキットや食品EC活用歴10年の大ベテランがいます。子供の誕生により時短を求め割り切ってミールキットを使い始めた彼女はオイシックスを皮切りに7社目で最適サービスを見つけました。「評価軸は受け取り方法・発注方法・宅配料金・商品のバリエーション・安全性・価格。ミールキットは数分で手の込んだ料理ができてしまう。夫でも料理担当になれる。特に子供のために安全性が保てれば多少の割高コストは許容の範囲。問題点は量が少なめ・長く顧客になると商品マンネリ化・生ゴミは少ないが包装や梱包材がたくさん出る」等々、大ベテランだけに市場の評価は的確で賢い生活者ぶりがうかがえます。

 

 現役を退き夫婦で郊外生活を始めた知人もミールキット活用者です。のんびり生活だから“時短”意識は薄いのですが、田舎に引っ込んだため上質でおしゃれな食料品やスパイス等は田舎の食品スーパーでは入手しにくいのだそうです。「都心へ出た時に買いだめしていたが、昨年から世界17か国でミールキットを展開するハローフレッシュを知り早速メンバーに。ワールドグルメコースで珍しい料理を楽しんでいる」という賢い活用法を発見しました。

 

 多くのミールキットの価格設定は1人1食400円~800円が主流で調理時間の目安は10分~20分。献立を考える手間なし・買い物に行く時間の節約・食卓に変化をつけられる・食材の余りがでない、と食事づくりの悩みやストレスを解決してくれるありがたい商品ですが、普通の食品買物に比較すれば割高感は否めません。が、知人たちのようにコストを払ってでも別の価値が得られると納得できる消費者が徐々に増加傾向にあります。ある女性は料理研究家が監修したミールキットをオンライン動画を見ながら料理できレッスンを受けているようでプレミアム体験だったと評価します。こんな料理家・有名レストラン・キャラクターブランド等のコラボキットも開発されミールキットの可能性は拡がっています。

 
 

●もう一つの時短実現商品は“冷凍食品”
 従来、冷凍食品と言えばお弁当に入れる揚げ物や小腹がすいた時のスナック的イメージがありましたが、食品冷凍技術が進化しコロナ禍の自宅生活で冷凍食品の需要が大幅に伸び、2021年度は8,032億円と過去最高の売上げに達しました。特に麺類・米飯類・スナック等の調理冷食が全体の6割で種類も増えています。そんな流れを受け今年夏に「@フローズン」という1,500品目の冷凍食品を販売する専門店が浦安に誕生し注目を集めています。有名レストランとコラボレシピで調理された惣菜やパスタ・カレー、解凍するだけで食べられるスイーツ400種、オーガニックアイスクリームや200gの小容量で使い切れる精肉など工夫された新しい商品が揃っています。

 

 浦安は都心へ20分圏内で若年ファミリーや単身世帯が多く人口も増加の一途で、常備できる冷凍食品へのニーズが高いエリアです。この新業態誕生のニュースを聞いて「ようやくできたか」と友人の間で話題になりました。食事づくりがより便利に楽になるサービス・商品・新店舗がもっとできることを期待しています。

 
 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2022年11月号掲載)