日経MJ
集客の秘策は「キャラ立ち」 -横浜モアーズ、リニューアル後好調-
全国屈指のターミナル、横浜駅は周辺に百貨店や駅ビル・地下街がひしめく商業激戦区だ。1968年に岡田屋として開業した横浜モアーズは、2024年春から段階的なリニューアルを始め、同年11月30日にグランドオープンした。強豪揃いの横浜商業ゾーンでリニューアル後、集客力が高まった横浜モアーズの秘策を探ってみた。
1、2階をシームレスに
横浜モアーズは地下3階、地上9階建てで店舗面積は17,700㎡、店舗数は43。2008年以来16年ぶりのリニューアルで1~3階をメンズMD(商品施策)で構成したことだ。
「横浜駅前の好立地であっても小規模のモアーズが戦うには“キャラを立たせること”が重要。開業以来これを信条としている」。横浜岡田屋(横浜市)の岡田伸浩社長はいう。
商業施設はファッションや雑貨の女性MD構成から1階を始めるのが商業施設のセオリーだが、モアーズは良い意味で期待を裏切った。1、2階は「ビームスライフ横浜」、3階はコンセプトを“メンズ&フレンズ”とし10店舗で構成している。
2層で計991㎡の「ビームスライフ横浜」はビームスで最大規模のコンセプトショップだ。メンズカジュアルに加え、アートや日本の民芸、インテリア雑貨、オーダーサロンも併設するドレスラインなど11レーベルにカフェも設置した大型実験店舗だ。
改装前のモアーズ1階には「ビームスハウス(メンズ)」があり、リッチで感度の高い男性客から根強い支持を得ていた。さらなる客層の厚みを目指し、ビームスメンズの面白さを伝える新店がアートやカルチャーやファッションで上手に構成されている。ジェンダーレスが一般化する現代、女性も楽しめるステージに仕上がっている。
改装前のモアーズ1階には「ビームスハウス(メンズ)」があり、リッチで感度の高い男性客から根強い支持を得ていた。さらなる客層の厚みを目指し、ビームスメンズの面白さを伝える新店がアートやカルチャーやファッションで上手に構成されている。ジェンダーレスが一般化する現代、女性も楽しめるステージに仕上がっている。
改装前のモアーズに比べ、吹き抜け周りの重苦しさがなくなり、透明感が生まれ、正面入口から北出入口への見通しがきく空間となっている。床材を統一し、共用通路と店内の境目をなくして吹き抜けを透明ガラスで天井まで囲った事で、2層フロアがひとつの大空間として仕上がった。
この手法は2階の隣にあるスターバックスコーヒーにも適応され、ビームスとスターバックスと吹き抜けが均等に一体化するシームレス空間がつくられた。その清々しい空気感が人を呼ぶのか、吹き抜け周りのベンチには常に人がくつろいでいる。
モアーズは24年11月のグランドオープンに先立ち、2024年4月に11店で構成するレストランフロアを9階リニューアルオープンさせている。中でも注目は「おいしいカウンター」と名付けた6店の小規模カウンター店舗ゾーンだ。
以前は2店の大型飲食店があった場を細かく区切り、カウンター越しに客と店主のやり取りが楽しめる焼鳥、おでん、スペイン料理、牛たん屋などが軒を並べる。区画がキッチリと間仕切られた旧来型の飲食店とは違い、どの店も開放的で入店しやすく、一人でも少人数でも気軽な食事やちょい飲み利用ができる雰囲気だ。
特徴的なのは平日でもミドル・シニア層がレストランフロアに来店している事。時間にゆとりのあるマダムのひとりランチや昼からアルコールを楽しむマダム女子会でにぎやかだ。特に「おいしいカウンター」はいきつけや顔なじみの店にできそうな親近感がもてる環境デザイン。店がズラッと一列に並ぶほかの商業施設のレストラン街の環境を超えた新しさが演出され好印象を受ける。
「ここはディベロッパーが主なる設えを用意し、テナントは家具や備品だけの持ち込みで出店しやすいシステムを組んだ。小事業者でも実力があれば人気店になれる場。」と岡田社長。「ディベロッパーにとってはテナントの新陳代謝促進により集客をはかりやすくなる」と岡田社長の志す館の個性化計画の一翼を担う場にもなっている。
昨年秋のグランドオープン以来、客単価は3割アップし、低層階の客数は2倍近く伸び客層が広がってきている。「横浜の人は地元を愛しつつ都内の商業施設にも日常的に使う消費になれた人たち。好スタートが切れた中で、尖がりつつ売上をとる次のステージを計画したい」とリニューアルでテナント対応に奮闘した営業グループ鈴木雄大リーダーはすでに明日を見つめていた。
(記:島村 美由紀/日経MJ「デザイン面」 2025年(令和7年)1月22日(水)掲載)