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2023.08.01

不動産フォーラム21

発展の可能性が大きいリユース市場-いらない・使わないを換金する時代-

 
 

 循環型社会の3R“リユース・リデュース・リサイクル”の中でもとても身近な生活活動になっています。しかし、環境省「リユース市場規模調査報告」では2021年に「過去1年で中古品やリユース品の購入をしたことがない」と回答した消費者が70.2%でした。車、ゲームメディア、レジャー用品、衣類など中古品やリユース品でOKという分野はたくさんあり、安価さやSDGs意識がはたらきリユースは一般的だと思っていましたが、7割が未経験との事。まだまだ市場の開拓余地があるわけです。

 

 逆に、3割あるリユース市場の規模を調べると車やバイクを除いた2021年リユース市場規模は2兆7,000億円で年々増加し、2025年には3.5兆円規模になると予測される成長市場です。

 
 

●“ウソ~~”の査定メールに驚いた日 
 リユース市場規模2.7兆円の裏には不要品を売る提供者が不可欠です。一般的に買取市場と呼ばれていますが、先日、私はLサイズ段ボールに不要なゴルフウェアや雑貨を詰め込んで2個の荷物を買取店に出しました。数日後のメールに「15,000円」とあり「ま、そんなものだ」とスルーしようとしたのですが再度ゼロを数えると、何と“15万円”の査定額でした。驚きです‼これに味をしめ、手放しがたかったラグジュアリーブランドのブーツやバッグや衣類を出しました。シャネル、ステラマッカートニー、クロエ等どれも思い入れのある品で退蔵品(自宅に長く保管した物)となっていたのですが査定メールは「15,000円。ウソでしょ」と認めがたい金額でした。

 

 専門家に話を聞くと、中古品はすべて1点物でコンディション(状態)が大切、ブランド品は付属品の有無(箱・保証証)で価値が変わる、リユース市場にもトレンドがあり人気商品か否かで査定額が変化、偽造品・盗難品のチェック等が買取査定では重要なポイントだそうです。おそらく私のゴルフウェアの15万円はゴルフブーム到来、過半が人気Pブランドでした。逆にシャネルといえども靴にはサイズあり、クロエ人気も下火、完全なトレンドアウト品の1.5万円だったわけで、改めて市場原理を学びました。

 
 

●入りやすさも工夫する買取ショップ
 コロナ禍でアパレル業界が低迷し店舗開発で活躍をしていた複数の知人が転職をして何人かが買取り業界に再就職をしています。リユース市場がとても好調で中古品の販売店以上にその仕入れ先となる買取店の出店が活発となり、知人だちがヘッドハンティングされたのです。

 

 駅を中心に半径1kmに人口3万人以上、世帯平均年収600万円以上が買取り店のねらい目エリア。東京でいえば目黒や人形町や自由が丘などがベスト立地。路面店が基本なので携帯ショップ跡や飲食店跡、薬局跡などに収まるのが出店スタイルです。面白いのは、客層が良い立地ほど買取りカウンターだけの商売はNG。洋服やジュエリーや時計等を展示してまるでセレクトショップのような設えにすることでお客様の入店のしやすさを演出し「私は買取り屋に来たのではなくお洋服を見に立ち寄ったのよ」というご近所目線を気にするお客の演技に対応することがポイントだそうです。女心としては納得のストーリーですよね。

 

 昨年来、百貨店にも買取りカウンターが誕生しています。百貨店店員が対応していますが、査定(鑑定)は別室で買取り業者スタッフがやっているようです。某百貨店に出店した買取り業者は「客層が良く防犯安全性が高い、外商客を紹介してもらえる」とのこと。お互いウィンウィン関係性が成立しているのですね。

 
 

 メルカリのようなフリマアプリ市場はCtoCで低価格取引が中心。高額品や偽物・粗悪品を避けられる場として実店舗による買取市場は消費者をリユース・リサイクルの供給サイドにも立たせる時代になっています。

 
 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2023年8月号掲載)