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2019.11.01

不動産フォーラム21

楽しい楽しみ方発見! 新書店が人を呼ぶ

  

 書店が話題になり人を集めています。この20年間で書店は店舗数が半分(2019年5月11,446店)になりましたが、スタイルを変えることで、人々の関心を集める店に変化しています。その変化にどんな秘密があるのか、ご紹介したいと思います。

 
 

●知の遊びが体験できる誠品書店
 9月下旬、日本橋に新たな書店が華々しくオープンしました。台湾から日本に初上陸した「誠品生活日本橋」です。COREDO室町テラス2階のワンフロアに展開されるこの店は半分が書店、半分がカフェや文化雑貨等を扱うゾーンに分かれています。ぐるりとひと回りすると知的なモノやコトに出合うカルチャーワンダーランドの大型ショップです。私もさっそく出かけてきました。が、人、人、人のすさまじい混雑です。知の遊びができる余裕は全くなし。しかし雑貨ゾーンをじっくり見ると、台湾から初上陸だけあって、日本にはないお茶屋、菓子店、漢方コスメ等の小さな店舗が並び魅力的です。多くの女性客は心惹かれる様子でどの店も混み合っています。逆にメインコーナーである誠品書店ゾーンは静かな雰囲気の読書空間でした。説明によると雑貨ゾーンでは日本や台湾で発掘した興味深い店や商品を順次変えて紹介し販売していくそうなので、時たま立ち寄ってみようという気になります。また書籍もコーディネーターが随時編集テーマに変化を持たせ提案型で様々なジャンルの本をセレクトしていくそうなので、雑貨も本もこの変化が集客の鍵となるわけです。オープンラッシュが一段落したころに誠品生活の知の遊びの本番が体験できるでしょう。

 
 

●クルマと本とカフェが結び付いたオートバックス
 東雲にスーパーオートバックスが22年前にできましたが昨年秋の大リニューアルで「A PIT オートバックス東雲」となり、“クルマもヒトもピットイン”をコンセプトにクルマのあるライフスタイル提案型の店舗に変身しました。メインフロアの真ん中にはカフェと本屋が配置されています。全体は自然とクルマ、スポーツとクルマ、…というように8つのテーマで構成され、お茶を飲みながら書棚から雑誌をとりパラパラめくるとドライブやキャンプに行きたくなり、書棚の先にあるテーマに紐付けられたカー用品に手が伸びるという連鎖をねらった店づくりです。カー用品店へは用事がない限り行く店ではありません。ましてや今はネットショッピングで必要な物は買える時代です。そこでオートバックスはカフェや本屋を複合することで、カー用品店の日常づかいを計画し実現したわけです。実際、私が行った休日はカフェにファミリーやシニアカップル、女性グループ等の大勢のお客様がいて、読書やおしゃべりを楽しんでいました。キッズコーナーには車や乗り物の本が充実していて「子供時代に車を好きになるよう将来のお客様を育てている」そうです。このリニューアルで女性客は2倍に増えカフェ&本が集客の要になっています。

 
 

 この数年、地方都市にも大型書店にレストランや雑貨店が複合されたコラボブックセンター的な商業が誕生しています。一般的な書店は減少傾向ですが、お茶が飲めたりソファでくつろげたり趣味につながる雑貨があったりすることで、人々は書店を街の中の自分の居場所と認めていきます。本や雑貨はネットで注文でき、スマホで読める時代ですが、人は書店に知的な寛ぎ時間と小さな発見の旅を求めて“時の価値”を見出しているのだと感じます。こらからもっと時と遊べる新型書店が増える予感がしています。

 
 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2019年11月号掲載)