販売士
梱包に愛を!!
皆さんご存知のメルカリはすでに年間122億円超の売上規模になっているので、私の周囲にもメルカリ経験者が急増している昨今ですが、「メルカリ出品は疲れる」と知人が言います。購入者からの評価がくだされるので、商品が良くても梱包やメッセージで悪評価がつかぬよう、ダンボールやメッセージカードを購入して慣れぬ梱包に悪戦苦闘しているそうです。
そうか!!BtoCばかりでなくCtoCも増えてくる今は、素人でも梱包にスポットをあてる時代なのですね。
くすぐる梱包・愛ある梱包の巻
あるとき、ネットの女性ゴルフサイトから衣類を購入しました。数日後に送られてきた荷物を開封すると、バイオレットカラーの薄紙に注文の品が包まれていて、可愛らしいショップカードにはメッセージが書かれ黄色いリボンで留められていました。ネットショッピングでもこんな女性らしい気の利いた荷造りをしてくれるのだと何だか嬉しくなり、しばらくのあいだ黄色リボンのカードを机の引き出しに入れておきました。ごく事務的なネットショッピングの梱包しか見たことのない私にとってはこのサイトの気遣いがとても新鮮に感じられ、女性と限定したサイトの心意気に感心をしました。以来時々サイトをチェックしています。
またある時、仕事ついでに立ち寄った某セレクトショップでスタッフがお洒落で楽しいファッションの会話ができたこともあり、コートを衝動買いしました。自宅に宅配を頼むと「3万円以上は無料です」との話。数日後に送られてきた荷物を見てびっくりしました。真っ黒で分厚いダンボール。中央にはシルバーのショップロゴが印刷され、開封するとデザインセンスの良い封筒。中にはそのスタッフからの元気なメッセージ。ダンボールも封筒も再利用したくなるほどのお洒落さです。実はこのブランドとは仕事で過去に関係があり「私たちは特別」という上から目線のやりとりに辟易した経験があるのですが、店でのスタッフの上手な対応と宅配荷物の梱包を見て「さすが!!」と納得をしました。
箱を開封する時には誰もが送られてきた商品との出合いの瞬間にドキドキワクワクするものです。こんな梱包の素敵さにはくすぐられ、愛を感じますね。思わず「ありがとう」です。
何だよ、一体!?梱包の巻
つい先日の出来事です。大阪に知人と出掛けた折、ファッション好きには有名なセレクトショップに寄りました。セール期間だったためついついお買物。2人で20万超のショッピングです。ここでも宅配を依頼し「いろいろ買物したから送料をおまけして」と言ってみるとスタッフは無言でした。後日届いた荷物にあきれ返りました。ダンボールは使い古しで蓋部分は寸足らずで口が閉まらずテープで留めてあり、テープの粘着が弱く中身が見えてしまっています。おまけに送料は着払いとなっていました。知人に見せたところ「身内でもこんな荷物は出さないよね。」まったくその通りです。一体全体何がどうしてこんな荷造りができたのでしょう?またなぜ客の了解もなく着払いで送るのでしょうか?その時の接客を知人と思い出しても意味が分かりません。
結局、同ショップの東京店責任者に来てもらい荷物の確認と商品を全て返品する話をしました。好きなデザイナーの服でしたがミソがついた品は着る気になりません。
品を届けるためのレッドカーペット
最近知ったのですが“宅配テロ”という言葉があるそうです。伝票に細かく荷物内容が書かれて他人に見られたり、梱包が不完全で中身が見えたり、雑な荷造りだったりすることを表す言葉だそうです。宅配テロやすごく酷い梱包例が画像集となりネットにアップされてもいます。
まさか宅配テロがBtoCで自分の身に起こるとは思ってもいませんでした。「たかが梱包、されど梱包」です。受け取る側にとっては荷を受け取り開封するまでが品との出合いのレッドカーペットの至福のひとときです。物流が盛んになる時代だからこそ、プロの皆さんはお客様が商品に出合うための完璧なレッドカーペットをひくよう心掛けたいものですね。
(記:島村 美由紀/販売士 第28号(平成30年3月10日発行)女性視点の店づくり⑬掲載)