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2019.01.04

不動産フォーラム21

最適な引き合わせを― いま時マッチングビジネス体験

 

ゴルフ愛好家のために

 ゴルフは4人の仲間が集まってやるものですが、4人の仲間集めには苦労が伴います。面倒なことが多々あり私は日頃から嫌気がしていました。ところが4~5年前にネットを見て“ひとりゴルフ”の存在を知りました。

 “ひとりゴルフ”とは“一人予約ランド”のことでこのウェブサイトを運営する企業が全国1,000強のゴルフ場と提携しネットで4人のゴルフプレーヤーを成立させていくシステムのことです。

 まずゴルフをやりたいと思ったらネットでサイトに入りエリアや日付をチェックすると対応できるゴルフ場と料金やスタート時間の一覧が出てきます。ここで面白いのが登録する時に、年齢や性別、ゴルフレベルをプロフィール情報として入力しておくので、上記のように希望検索をするとすでに予約を入れた人のプロフィールを見られ相性をチェックできます。そして赤の他人同士の4人組が成立します。手間いらずのゴルフプレー成立です!!

 私が初めてこのシステムを使った時は不安がありました。馴染みのゴルフ場が提携していたので勇気を出してトライしてみることにしたのですが、知人に話をしたら「誰がくるかも分からないのに女がやるものではない」と忠告されるほど印象は良くありませんでした。しかし当日にゴルフ場へ行ってみると肩透かしを食らうほど不安も困り事も一切なく、1日を楽しみました。以後時々“ひとりゴルフ”を活用しています。

 先日ご一緒したゴルフ上級者の男性は「高額でゴルフ場会員になるのは無駄。ひとりゴルフを利用すれば気軽に安くゴルフができる時代だ」と言っていました。提携ゴルフ場は名門や評判のゴルフ場も多くあり初心者から上級者までが楽しめます。ゴルフ場側でも新客創造につながるわけです。

 このサービスはいま時の言葉で言えば「マッチングビジネス」です。ニーズのあるAとBを結び付けるマッチングビジネスでゴルフをやりたいそれぞれの4人と集客をしたいゴルフ場を最適に引き合わせるわけです。2010年から始まったこのサイトもすでに毎月50万人が利用する大きなマッチングサービスに成長しています。

 
 

料理愛好家のために

 器が大好きで収集するうちにその器に盛り付ける料理にも凝るようになり振る舞いたくなった知人がいます。作りたい、食べさせたいを受け止めてもらえる方法を探していたところ知人は「キッチハイク」というマッチングサイトを見つけました。

 このサイトは好きで料理をする人や人が集まってワイワイごはん会をやりたい人と食べることが大好きな人を結び付けるマッチングサービスです。

 知人は自宅で日時と参加者人数と参加費を決めて自己紹介や当日の予定をPOP-UPし知らせてみると、関心を持った参加者がすぐに名乗りを上げ定員5人が決まり当日を迎えました。「どんな人が来るのだろう?」とハラハラドキドキの当日だったそうですが、平日の昼時のために近隣に住むミセスや器好きの初老の男性がお行儀よく集まってくれ、約2時間、料理談義と器談義に花が咲いたそうです。その後知人はこの体験にはまり何度か「キッチハイク」をしています。中には常連さんもでき料理作りの手伝いをしてくれたり、こだわりの器を持参する人もいるそうです。噂によると子育てママがキッチハイクで同じ子育てママを募り子供と一緒のごはん会を開催する人達やパン作りが好きな夫婦が焼き立てパンを提供する会などいろいろな作る人、食べる人の食を楽しむ仲間作りのマッチングサイトの輪が広がっているそうです。2014年からスタートしたこのマッチングサイトは3年間で約20倍の利用者となり毎月300件の多様な食事イベントが開催されています。作る人は表示した参加費の20%、食べる人は5%をサイトに支払うシステムです。人との出会いを食を媒介にして深めるマッチングサービスが活性化する時代なのです。

 

 昔はお見合いもマッチングでしたが、ニーズとニーズを結び付けるマッチングビジネスは新価値観のニーズの深掘りにより、いま時の多様化をおこしています。

 

 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2019年1月号掲載)