不動産フォーラム21
我慢できるか、渋谷!?
久しぶりに休日の新宿に行って驚きました。すごい人出なのです。歩道をスムーズに歩くこともままならないほどの人出で、若いカップルや子供連れのファミリー、熟年夫婦も多くいて、新宿のにぎわいぶりを再確認しました。
駅東口から新宿三丁目方面に歩き、百貨店やブランドショップをのぞきましたが、どこもボーナス後の週末とあって混雑し、夕方になっても人並みは増すばかり。そこで街はずれの地味な甘味屋で一服と思い入店すると、そこもほぼ満席の繁盛ぶりです。店内を見渡すと半分が外国人。中国、韓国、アメリカというお国の若年層がみたらし団子やかき氷を注文していました。近頃、外国人観光客が増加したと聞いていましたが、甘味屋にも外国人客!?もしかしたら日本を紹介するガイドブックに「ジャパニーズスイーツ」が載っているのかもしれません。帰りのタクシーで運転手さんに聞くと、若者は東口周辺、中高年は南口、大人層は三丁目と最近の新宿は客層が分かれてきているものの、たしかに休日の人出は多くなっているそうです。半日の新宿歩きでしたがすっかり人並みに酔ってしまい、昭和時代の銀座の休日を思い出しました。
場所は変わって渋谷。昔はバーゲンシーズンになると早朝から行列ができたファッションビルも、今では静かな夏のセールが始まっています。我が社は渋谷の公園通り沿いにあるのですが、最近は“公園通り”を知らない人が多くて会社までの道案内が難しくなりました。今年の夏、ワールドカップが開催される直前に公園通りのまん中に楽天カフェやビールメーカーによるテラス型ビアホールがオープンしました。両方ともに渋谷の新名所としてにぎあうだろうなと期待して見ていたのですが、今のところ静かな営業ぶりです。数年前に黒船来航と騒がれた外国の大型ファッションショップもボチボチの様子。渋谷は相対的に静かになりました。全国の女子の憧れだったギャルファッションの“109”もギャルファッションが下火となり館は静かです。
我が社は20年前から渋谷にオフィスを構えてますが、地方の修学旅行生が朝8時すぎから渋谷見学に来ていて「店は11時オープン」を知って路上にたむろしていたり、夏休みに渋谷観光に来た母娘に道や店を聞かれたり、Xマスシーズンは並木道がイルミネーションでロマンチックに飾られカップルが増えたり、渋谷のにぎわいを見てきただけに「渋谷が静かになったのは残念だね」とスタッフと話をしていました。
そんな矢先に7月のニュースで渋谷駅の乗車実績が大幅に減少したと報道されました。これは、去年3月開始の東急東横と東京メトロ副都心線の相互直通運転で人の流れが大きく変わり、横浜方面から渋谷を越えて新宿に行きやすくなったことが要因だそうです。たしかに、東横線と東京メトロの直通運転は渋谷に大きなショックを与えました。なにせ駅が地下5階に新設され、JRの乗り換えに10分も要するほど不便な環境になてしまったこと。またハチ公口や南口に行くには仮設通路を往来するためあまり快適な空間ではないこと等、渋谷下車を消極的にする出来事が起こってしまったのです。2020年のオリンピックイヤーまでには渋谷駅が大幅に変わり、ますます静かに、はては寂れてしまうのではないかと心配になります。渋谷の街は6年間じっと我慢できるかしら・・・・・・と思っていたら、何かのPRでしょうか?スーパーマリオのコスプレをしたゴーカートが公園通りを走っていきました。新宿でも見かけたゴーカートですが、新宿では写メを向けられ人気者だったマリオも渋谷では注目されることなく公園通りをスルー。マリオくん、渋谷はノリが悪くてゴメンね。
(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2014年8月号掲載)