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2020.02.05

日経MJ

島人集うリゾートSC -沖縄ライカム、圧巻の5層吹き抜け-

  

 沖縄県中部の北中城村で2015年に開業した郊外型ショッピングセンター(SC)「イオンモール沖縄ライカム」。リゾートモールというコンセプトで訪日外国人(インバウンド)を引き付けつつ、島人(しまんちゅ)にも愛され好調を持続。19年には増床し、集客に弾みをつけている。

 

水槽には熱帯魚・ミニ植物園併設

 ライカムを訪れた人は沖縄らしく一対のシーサー(守り神)と赤瓦の大門に出迎えられる。施設内に入ってまず度肝を抜かれるのが、5層吹き抜けの大空間だ。全国には吹き抜けのあるSCは多いが、ライカムほど大空間の存在がバランスよく整ったデザインで保たれている館はまれであろう。

 

 5階の窓から自然光が施設内を明るく照らし、店舗の彩りが浮かび上がる設計になっている。建築デザインは米国の設計事務所が手掛けた。大空間の一角には沖縄美ら海水族館(沖縄県本部町)の協力を得て、大水槽の中を熱帯魚が悠々と泳いでいる。SCのコンセプトはずばり「沖縄リゾートモール」だ。

  

 昨年の改装では1階を8,000㎡増床し、新ゾーンを誕生させた。ファストファッションや生活雑貨の店舗を増床エリアにそろえ、店舗数は改装前より10店舗増やし240店に。出足は好調だ。

 

 駐車場の一部を売り場に変更したため、大空間から急に天井が低くなる細い通路の左右に新店を配置せざるを得なかった。その狭さを逆手にとって、台湾のタピオカ店や人気のペットショップを配置。小空間だからできるにぎわいを醸し出した。さらに左右にデジタルサイネージを配置して沖縄の文化自然を映し出し、リゾート感を演出。駐車場にあった樹木はそのまま残し「オキナワの庭園」と名付けたミニ植物園をつくった。

 

 ライカムは平日でも、家族連れや20代の女子グループ、主婦のグループなど多様な客層でにぎわっている。施設のある北中城村は人口わずか17,000人の村だが、主要国道と高速道路が使える交通利便性に優れた立地だ。ゼネラルマネージャーの佐藤規正さんは17年に着任した当時、リゾートモールというコンセプトに加え、地元客にもしっかり愛してもらうことが重要と考えた。

 

 施設内イベントなどを強化して「コト消費」にもきっちり対応した。その結果、年間の来館者1,300万人に占める沖縄県民の割合が7割強で、そのほかにインバウンド2割弱、米軍関係者1割の構成となった。「訪日客も複数回来日する旅行慣れした客が多くなり、地元客と同じ物に反応する普通のお客様になっている。地元に支持されるSCにすると幅広い層のお客様もついてくる」と佐藤さんは語る。

 
 

巨大フードコート・地元客の憩いの場

 こうした地元客も引き付けるのが、オーシャンビューを有した巨大フードコートの存在だ。近年、飲食に力を入れるSCは多いが、ライカムは開業当時から3、4階それぞれに「Rycom Gourmet World(ライカム グルメ ワールド)」というテナント数30店舗、座席数2200席の大フードコートを設置した。食事、ちょい飲み、デザートまで充実した店舗構成と、他人に煩わされることなく青い海を独り占めできる広々空間は、他の施設ではなかなか体験できないぜいたくさがある。

 

 大型施設だけに誤算もあった。ライカムの中で安定して人気があるのは米テイストのファッションや雑貨。特に2階のスポーツファッションゾーンは県下の若者に人気がある。実は昨年まで、米国大型ファッションの2店舗がキーテナントとして1階正面を守ってきたが、両店ともブランド全体の売り上げ不振により日本市場から撤退。ライカムからも退店となった。ライカムの両店は好調だっただけに残念な退店となったが、米国の文化が浸透している沖縄ならではの逸話と言えるだろう。

 
 

 ライカムは今後もより地域密着度を高めていくという。地元客の支持が厚い商業施設は域外からの客にとっても生き生きしたパワフルな館に映るものだ。沖縄は日本では数少ない人口増加地域で、インバウンドの来客増も見込める。こうした地域特性をうまくくみ取るライカムの、さらなる成長が楽しみだ。

 
 
(記:島村 美由紀/日経MJ「デザイン面」 2020年(令和2年)2月5日(水)掲載)