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2020.03.16

販売士

売る側も買う側も ギフトの愛を!!

 

 年末から春にかけては行事が多いギフトシーズンです。「あの人に何を贈ろうかな」と毎月のように思いを巡らす時であり“相手の好みにマッチした見た目も気の利いた贈り物”を考えるのは楽しみでもありますが、考え、選び、買物をする手間は煩わしくもあります。
 
 しかし、自分が気に入った物を貰った時の嬉しさや相手への感謝の気持ちを思うと絆を大切にする時代だからこそ“ギフトシーズン”はモノ消費とコト消費が一体となった今の時代にふさわしい意味あるショッピングシーンではないかと思います。
 
 

●トホホなクリスマスギフトの体験
 12月上旬、知人のAさんBさんから会食の誘いがありました。秋にAさんにお世話になっていた私はお礼を考えていたのでAさんに早めのクリスマスギフトを贈ろうと思い付きました。とはいえその席にはBさんもいますのでAさんBさんそれぞれへ同じアイテムのクリスマスギフトを差し上げる事にしました。女性であれば流行のスイーツでも、となりますがAさんは50代後半のビジネスマン、Bさんは70代半ばのリタイアシニアなので共通し、なおかつ喜んでもらえるアイテム選びは難題でした。
 
 「そうだ、2人ともゴルフをする!」と気付き、贈って気軽に身に着けてもらえそうなゴルフソックスをギフトする事とし年末の多忙時期でしたが仕事途中で大手百貨店に立ち寄りました。
 
 Aさん愛用のNブランドコーナーに行き、2人の顔を思い浮かべながらAさんイメージの靴下3足、Bさんイメージの靴下3足を時間をかけてチョイスしました。ラッピングにも気を使い有料でAさんにはクールなブルー系、Bさんにはビビットな赤系と決めセンス良い買物と自己満足が出来た楽しい買物タイムを過ごしました。
 
 さて会食の夜、ビールで乾杯してすぐに「ちょっと早目ですがお2人にクリスマスプレゼントを持って来ました」とボックスを渡すとAさんBさんは期待に目をキラキラ。その場で嬉しそうにラッピングをはがしボックスを開けました。が、なんとビックリ、ボックスの中にはAさんにBさんの靴下、BさんにAさんの靴下が入っているではありませんか!?
 
 Aさんが「何で僕の好きなブランドを知っているの?」と聞くので「それは見ていれば好みは分かりますよ~」と答えた私ですが、あれほど時間をかけて気に入った買物をして中身を間違えないよう店員に頼んだのにコントのような出来事になってしまい私の頭の中は真っ白です。「一体全体どうなっているのかしら???」と思っても2人には本当の事は言えません。年齢もセンスも違う2人なのでチグハグな靴下を渡した事になったのです。
 
 Bさんは「明日ゴルフだからさっそく履かせてもらうよ!」と派手な靴下を眺めていました。本当に残念な夜でした。
 
 翌日その百貨店のゴルフ売場に電話をしたら売場主任という男性が対応をしました。事の経緯を説明すると数時間後に連絡があり「担当店員が間違えないよう気を使ったのだがボックスの包装とリボンかけに手間がかかり助人が手を貸してくれたので、おそらくこの時に商品を取り間違えたのだろう。今、在庫でAさんBさんそれぞれの靴下セットを確認したがテイストが異なる2セットであり申し訳なかった」との説明です。主任は「AさんBさんそれぞれのところに出向き事情説明とお詫びをしたい」と言いますが、それでは私の立場がなくなるので拒否。「では島村様のところへお詫びに行く」との一点張りです。「そんな時間は無駄です。詫びてもらっても靴下はすでにチグハグギフトになってしまった」のやり取りで結局私が涙を飲む事の顛末となりました。
 
 

●こだわりを買いこだわりを渡す
 実店舗は関西3店舗だけの美味しくて有名なケーキハウスからシーズン毎にカタログが届きます。先日はバレンタインギフト特集だったのですが、1,000~5,000円の商品紹介には中身であるお菓子の詳細だけではなく、イタリアやスイスの有名なラッピングペーパーカンパニーやリボンメーカーの袋やボックスが使用されている事をうたっています。
 
 ケーキハウスの商品の美味しさは大前提とし、バレンタインという特別なギフトだからこそ、見た目のお洒落さにも店としてはとてもこだわってリボンもペーパーもボックスも吟味した最高のギフトを!!という贈り物への提案だと感じます。
 
 昨年末、弊社がコンサルタントをしているショッピングセンターで「複数の店舗で買物をしたギフト商品を1ボックスに詰めギフトラッピングをします」というシーズンサービスを実施したら、多くの利用者が集まり好評でした。中には包材を持ち込んできれいにラッピングをする手順ついて、担当者に教えを乞うお客様もいらっしゃいました。
 
 高額品を贈ることが良しの時代ではなく、相手のことを思ってのこだわりを包み込んで渡すことが絆時代のギフトセンスになってきたのですね。
 
 そんな時代を反映してか、近ごろの百円均一ショップのラッピンコーナーは年々品ぞろえが充実してきています。ラッピングペーパーはもちろんのこと、色々なプリントが施されたサイズ豊富なナイロン袋や口を閉じるネジネジもカラフルにそろえられています。ボックス類も多種多様。ハートマークやThank youと書かれたシール類、リボンもふんだんにあり、どれでラッピングをしようかとコーナーで長時間迷う女性の姿を見かけます。
 
 店員さんに話を聞くと手作りギフトのための来店もあるが、ギフトを買った店のラッピングがいまいちだからやり直すための女性客の来店も意外と多いのだそうです。こんな女性ニーズを素早く捉えている百円均一ショップの目線はなかなかですね。
 
 
 絆の時代、お客様の心遣いが伝えられるギフト対応をしっかり準備できている店には「信頼できる」「頼りになる」の太鼓判が押されるはずです。あなたの店の準備はいかがですか。

 
 
(記:島村 美由紀/販売士 第36号(令和2年3月10日発行)女性視点の店づくり㉑掲載)