MAGAZINE

2018.05.01

不動産フォーラム21

ロボット・セルフレジ・無人店舗に時代対応力問われる

 

配膳ロボットの登場

 日比谷に新規開業した商業施設を見に行ったら面白いロボットが活躍していました。「配膳ロボット」です。
 大手外食チェーンのロイヤルが運営するカフェの一角にある「ワークスペース」というビジネスミーティングや一人仕事に使う予約制の席で、そのロボットは働いています。指示が出されると厨房から客席までを最大8人分の料理やドリンクをのせて客席まで運んでいます。「なぜロボットなの?」と聞いてみると「お客様が仕事に夢中になっていると店員がうろちょろしているのを煩わしく感じるでしょうし、人手不足の折に一挙に8人分の量を運べるのは運営上のメリットがあります」とマネージャーからの説明がありました。
 「配膳ロボット」はあまりかわいらし呼び方ではありませんが、通路を静かにゆっくり動く姿は頼もしい感じがします。「コーヒーのおかわりはいかがですか?」なんてしゃべると楽しいのですが、ロボット君は無言で残念ながら注文はスマートフォンの専用サイトから。この子が「ご注文のお品は以上でよろしかったですか?」なんてしゃべってくれると人気が出て注文も増えるかもしれませんが、あくまでワークスペースの静寂と人手不足解消のためのロボットで、今後は外食業界での多様な活躍が見込まれているそうです。

 

慣れると便利なセルフレジ

 人手不足はどの業界でも深刻な問題になっています。猫の手を借りたいほどの忙しさをAIの手(知恵)を借りての解決は近頃のトレンドですが、生活の身近で劇的に便利になり時短に結びついたものの一つにセルフレジが挙げられます。少量の買物なら自分でレジに商品バーコードを読み込ませ会計を行うセルフレジが都心のスーパーマーケットで短期間のうちに普及しました。はじめはめんどくさそうでセルフレジの列を避けていましたが、一度トライしてみるとスイスイと会計が進んで時間短縮になります。快適さは抜群です。
 また、スキャンは店員が行い会計のみを客が行う「セミセルフレジ」も従来の発想の枠を超えて、やってみるとスムーズで簡単であり、本当に便利だと感心しました。
 すでに都心では約75%はセルフレジ経験者であると、ある調査会社が発表していました。ここでも人材不足の解消策が取られ、すでにお客様に浸透してきているのですね。

 

トレンド最先端ファッションショップではすでに無人化

 渋谷に2月に開業したファッションショップ「koe」では夜間21時~23時までを無人化しています。夜のお客様は店員のいない店舗で自由に買い物を楽しみ、お気に入りの商品はセルフ会計と袋詰めを行います。会計はクレジットカードの対応でカードをかざしピッと読み込まれると完了。自分で商品をたたみサイズのよい袋に入れて持ち帰るというお手軽ショッピングができる「スマートレジ」スタイルです。もちろん、安全面は防犯カメラと商品に付いたICタグとセンサーの連動によって守られているそうですから悪いことはできません。
 我が社の近くですので何度か足を運んでいます。オープンしたばかりですので無人店舗でもお客様が何人かいると店員がいなくても居心地はそこそこですが、だれもいないまさに無人の時は、たった一人で広い店内にポツンといると居心地がとても悪く居たたまれない気分になり、帰ってきてしまいました。

 

 この春、人手不足により商品やサービスの値上がったことがニュースになり、働き手が不足している世の中を実感する日々ですが、配膳ロボットにコーヒーを運ばれ、食品スーパーではスイスイとセルフレジを使いこなし、だれもいないファッションショップでさみしがらずにトレンドの服を吟味し試着し会計をするという、時代に対応する強い心と器用さがないと、これからは生きていけないのだと痛感します。こんなところにも時代対応力をつけていかねばなりません。

 

 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2018年5月号掲載)