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2014.09.03

不動産フォーラム21

バーゲン離れで秋が早く来た!!

 

 実はこの原稿は猛暑の8月初めに書いています。ともかく暑い!暑すぎる東京で、みんなは汗をふきふき街を歩いていますが、何とファッションブティックのウィンドーはすでに秋の装い。ウールのセーターにショットブーツ。ワインレッドやネイビーで深まる秋のスタイルを演出しているのです。

 

 暑くて暑くてショートパンツにタンクトップで歩きたいぐらいの8月に、「なんでまた秋のファション?あまりに早すぎない!?」という感じなのですが、この2~3年、ファッション業界では「秋は8月から」が定着化傾向なんです。なぜ夏の真っ盛りから秋を始めるのか?そこには複雑な市場動向が見え隠れしています。

 

 まず一つは、長期化した景気悪化により小売業の業績悪化が続き、ついつい売上ほしさにこの10年間で夏のバーゲン時期が前倒しとなり、はやいところで6月20日頃スタート、普通の店で6月末か7月1日頃となり、競争が激しいエリアでは、他店に負けてはいけないと毎年バーゲン開始を早めていった商業施設や店が生まれました。その結果何が起こったのかというと、季節のファッションを定価で売る期間が極めて短くなってしまい、アパレル業界の利益率が悪化してしまいました。また春夏のファッションシーズンで、まだ本格的な夏が来ていない6月中旬から値引きが始まることに気付いた消費者は、3月頃に一度店をのぞいたら、その後はバーゲンに行けばよいというショッピングスタイルの人が増え、店への来店頻度減少を招くことになりました。私もその一人なのですが、本格的な夏物は6月中旬まで待っていればバーゲンで安く買えるわけですから、消費者はそんなにマメに店を見る気分にもならなくなってしまったワケです。

 

 二つ目は、不景気の中で「安かろう、良かろう」のリーズナブルファッションがたくさん誕生し、わざわざバーゲンをまたずとも、けっこうおしゃれでトレンドを取り入れたファッション商品が巷にたくさん出回るようになりました。さらに日本中に40施設ものアウトレットモールができ、中には200億円~500億円の売上を上げる超優良施設が11もあり、年に2度のバーゲンを待たずとも、有名ブランドの廉価品をいつでも買える環境がこの10年で整ってきました。“おしゃれで安くて良い品”が私たちのまわりに一般化してきたわけです。

 

 いつのコトだったでしょうか?有名百貨店やファッションのバーゲンに早朝から行列をつくって館を取り囲んでいたのは・・・・・・。私のオフィスは商業の中心渋谷にありますが、バーゲンの行列を見かけることは皆無となりました。逆に、6月初旬からファッションショップををのぞいていると、店の奥には小さなセールコーナーがあったり、店員さんが「バーゲンまで取り置きしておきますヨ」とささやいてくれたりで、「何だ、実は6月上旬からプレバーゲンが始まっているんじゃない」という感じになっていて、所詮「消費者のバーゲン離れ」がこんなことから蔓延し、この数年間でバーゲン売上に大きな期待はできなくなってしまったファッション業界となりました。

 

 こんな変化の中、秋物の立ち上がりが年々早まってきています。例年だと夏のバーゲンがピークを終える8月中旬から秋物導入だったのが、今では7月中旬あたりから深い色合いの晩夏物商品が扱われ、8月にはすでに秋物へと移行を始めています。「36度の真夏日にそんな秋物は売れないだろう」と思いきや、意外とプロパーの秋物ファッションは夏物に飽きた消費者には新鮮で、早め早めに売れていくのです。私もすでに3枚も秋物を買っています。気の早い店もあるので、今年は7月下旬にダウンコートを店頭に並べる店を発見!!試着している女の子を見つけました。お店の人とお話しをすると、8月の売り上げのベースは秋物でつくっているのだそうです。

 “秋は8月から”ファッションビジネスの前倒し戦略はウィンドーから始まってます。

 

 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2014年9月号掲載)