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2022.02.01

不動産フォーラム21

お洒落サウナを楽しむ ”サウナー”登場

  

 長期化するコロナ禍でレジャースタイルが変わり新たな分野が活況となっています。その代表がゴルフ。従来は接待や余裕ある中高年層の娯楽というイメージでしたが、1日を密にならず家族・仲間・カップルで楽しめるとして若年層や女性層からの注目が集まりゴルフブームが起こっています。その結果、ゴルフウエアやゴルフ道具の売れ行きは好調、スクールや練習場が盛況、ゴルフ場が混雑するという状況となりゴルフ人口減少で久ひく低迷していた業界に活気が戻ってきています。

 

 今回紹介するサウナも同様で、第3次サウナブームが到来したといわれるほどの注目レジャーとなり、新しい客層が生まれています。

 
 

●”サウナー” と呼ばれるサウナ愛好者 
 サウナの存在はゴルフと似たところがあり従来サウナ好きといえば中高年の男性で、頻繁にサウナに通いを汗をかき水風呂で冷やすを何セットも修行のように繰り返してお顔がテカテカになってるオジサマイメージがあります。サウナ施設のある立地も繁華街のはずれや雑居ビルの一角で、多くの人に馴染みの薄い世界だったと思います。

 

 コロナ禍直前の2019年秋、TVでサウナ愛好家グループが日本中をめぐり景色のよいロケーションをハンテイングしてテントサウナを組み立てサウナ&自然を味わう旅の様子が紹介されていました。私はには健全イメージがなかったサウナが、その番組で真逆の ”健康・大自然・心のいやし・明るいレジャー” にかわり目からうろことなりました。ちょうどその頃、タナカカツキ氏の「サ道」という漫画がTVドラマ化され一挙にサウナが話題となり若年層や女性層にブームが広がったといわれています。

 

 ブーム拡大のポイントは従来施設に対する新業態としてのサウナ施設が各地に誕生したことと、女性に優しいサウナの在り方が提案されたことにあります。例えばサウナ新業態では、ソロサウナと呼ばれる一人用個室ユニットやキッチン・リビング空間を備えるパーティールームユニット、ベッドやシャワールームを備える宿泊ユニット等のバラエティーに富んだ楽しみ方が、一人でも仲間ともカップル・ファミリーでも活用でき、まるでカラオケルームのような進化した展開になっています。こんな新しいタイプのサウナが都心や郊外駅前や自然豊かなキャンプ地に生まれており、密を避けつつ時を過ごすレジャーとして愛好者が増え、SNSでサウナの施設レビューの情報発信がなされサウナ業界が活気づくという好循環が生まれています。

 
 

●更なる新需要の可能性
 今まで女性の肌にはサウナの高温がNGと敬遠されがちでしたが、今回のブームでは女性関心の高まりから旧来施設がレデイスディを設定して温度調整を行い女性客の呼び込みを企画した、りスチームサウナやミストサウナを主としエステやマッサージを複合した女性専用サウナ施設が開発されたりと、今までは男性領域だったサウナ業界が女性客を新客として迎える動きが活発です。また女性はサウナポンチョやパンツ、サウナハットなどのサウナファションやスパバッグ、サウナマット、マッサージストーンなどのサウナグッズにもお洒落なこだわりを求めるので、サウナファション専門店やサウナを楽しむ季刊誌が生まれブームのすそ野をひろげています。

 

 また耐熱素材でできたテント内でサウナストーブを焚くテントサウナが売り出されて個人でも屋外で気楽にサウナを体験できるようになり、メーカーの在庫が無くなるほどの人気となりました。このテントサウナを利用したイベントが都心の渋谷や下北沢で開催され注目されています。下北沢は小田急線の線路跡地を利用した空地のような空間に複数のキッチンカーや子供の遊び場がある中、11基のテントサウナが建ち、サウナ体験やサウナ飯が楽しめサウナグッズの販売ショップも併設されているという催しで、1月の連休中は若い男女やファミリーの予約で満杯になっていました。街のイベントといえば屋台やミニライブが定番でしたが、”街のイベントでサウナに入る” というコンテンツは今までにない斬新プログラムです。これからは、サウナがイベントの新コンテンツに加わるだけでなく街中や住宅地の遊休地活用としても大きく成長する予感があります。

 

 サウナもゴルフもコロナがもたらした新たなレジャー動向でうまくいくと次時代の顧客創造となる可能性を秘めています。

 
 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2022年2月号掲載)