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2012.07.04

日経流通新聞

「格上ビジネスホテル 女性目線でニーズ創出」

 

 「安かろう、さえなかろう」のビジネスホテルの時代が終わり「安かろう、良かろう」の気のきいた格上ビジネスホテルが増え、宿泊客の満足度が上がっている。特に女性の視点で考えたデザインへのこだわり、大きな鏡や時計、洗濯済みのスリッパ、充実したアメニティーなど「こちら(女性)を向いてくれている」ことを実感できるホテルが次々と誕生し、出張時の宿泊先選びも楽しくなった。

 

 昨年9月、東京の銀座4丁目に開業した「ソラリア西鉄ホテル銀座」はそんな格上ビジネスホテルの代表格だ。地下鉄銀座駅から2分の好立地、しゃれた外観・ロビーのデザイン。2階に高感度のイタリアンレストランもあり宿泊客以外のお客も迎える。銀座ならではのセンスのよいたたずまいだ。

 事前に周辺のホテルを徹底的に調べ、快適性を追求した。全室トイレ・バスルームのセパレート、女性が使いやすい洗面スペース、上質なリネン類、デスク上から広告印刷物などを排除するといった様々な工夫が施されている。

 開業以来、宿泊客の4割が都内・近郊在住者、5割を女性客が占め、地方客を想定していた運営会社も驚いている。都内在住の母娘が1泊2日でショッピングを、女性2人連れが銀座お泊りのプチぜいたくを楽しむといった普段使いが目立つそうだ。週末の稼働率低下という一般的なビジネスホテルの悩みもなく、平日休日ともに安定的に集客している。

 

 女性の行動の範囲や価値が変化する時代に、ホテルも目の付けどころを変えれば、新たなニーズが掘り起こせる好事例といえる。

 

 

(記:島村 美由紀/日経流通新聞「How To 商い」 2012年7月4日掲載)