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2024.02.01

不動産フォーラム21

「恋愛は時間とお金の無駄である」 という時代

 
 

●ラブラブカップルよ、どこへ? 
 渋谷のイルミネーションイベント「青の洞窟」は2016年の開始以来1,000万人(コロナ禍中は開催なし)を超える人出となり街の風物詩になっています。2023年12月はコロナ5類移行後初の開催で、代々木公園で開かれたクリスマスマーケット人気もあり公園通りの歩道から人があふれるばかりの盛況ぶりでした。

 

 毎年「青の洞窟」を見ていて、異変を感じました。イルミネーションを楽しそうに眺める人たちは「カップル」が少なく「同性グループ」が多いのです。

 

 12月のイルミネーション、それも渋谷で、ということになれば今まではカップルのデートシーンが展開され公園通りはラブラブオーラに包まれていましたが、男同士のグループ(2~3名)や若い女の子グループ(2~6名)がカップルより目立ち、通りはサラリとしたカジュアルな雰囲気になっていて、部活かゼミの帰り道みたいな空気感でした。

 

 そういえばコロナ明けの春以降、都心や郊外の商業施設を定点観察していると、若い世代では同性グループ(男同士・女同士の2~4人)を多く見かけましたが、以前ほど男女のカップルは多くなく、観察対象者を探すのに手間がかかっていたことを思い出し、渋谷の異変と合わせて気になりました。

 
 

●恋人なし・交際経験なしの男女増加
 リクルートブライダル総研の2023年調査結果を知り、前述の「?」が解けたように感じました。20代~40代未婚男女のうち恋人がいる人は約3割。恋人がなく交際経験もない20代男性は46.0%、20代女性は29.8%で、初回調査2017年より増加傾向にあるそうです。特に20代の人たちでは「結婚を意識する相手としか付き合わない」とする人たちが4割に達する結果が出ました。イルミネーションやファッションビルに行きデートを重ねるうちに恋愛感情が変化し「○」とか「✕」とかになる“恋にステップ”はなくなりつつあるのですね。

 

 さらに「恋愛は時間とお金の無駄である」と同調する人は、女性20代19.4%、30代23.6%、男性20代23.7%、30代21.7%もいて、“恋愛=無駄”とズバッと切り捨てる感覚に驚きました。また男性の27.2%、女性の23.7%が「今後も結婚はしたくない」と結婚について消極派は年々増加傾向にあります。その結婚意向なしの理由で挙げられたのは「金銭的に余裕がなくなる」「行動や生き方が制限される」「メリットを感じない」「自由や気楽さを失いたくない」「必要性を感じない」という理由が上位で、男性は「金銭的に余裕がなくなる」、女性は「行動や生き方が制限される」がトップとなりました。

 

 既婚者としては「そんなことはないよ」と言いたいところですが、一人でも便利に楽しく暮らせる現代なので、それぞれの項目に「そうかもね~」と思えてもきてしまいます。

 
 

●男性と付き合うのはヒマな女子
 知人の20代後半シングル女子と話をすると、「男性と付き合うのはヒマな女性がやること」との発言があり耳を疑いました。彼女いわく、「リア充で毎日が忙しい。仕事はほどほどに趣味やレジャーを楽しむスケジュールがギッシリ。それも一人または同性の友人たちと。男性と付き合うなんてヒマや時間ももったいない」のだそうです。

 

 たしかに彼女は週末にコンサートを見に京都へ行ってきたとか、富士登山のツアーに一人で参加したとか、冬の札幌へグルメの旅にとか活発です。友人たちもボディメイキングやフランス留学への勉強など多忙な活動をしつつ、明治神宮を散策した様子がSNSにアップされています。

 

 夫婦で人生のドラマをつくらなくても自分だけで人生ドラマがつくられてしまうのが現代なのですね。

 
 

 ある大学教授が少子化対策についてレポートしている中で「出生率のアップは社会システムや経済力の押し上げで、時間を要するが改善は可能だ。しかし人々の出生意欲が低下し、自分の時間を大切に、結婚意欲の低下など人々の生活価値観そのものが子供を望まない方向に変化していけば少子化は対策を打っても効果は薄い」と言っていました。

 

 私たちの背景にある生き方への価値観変化を冷静に再考していく時なのでしょう。

 
 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2024年2月号掲載)