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2008.04.16

日経流通新聞

「女性の「袋物」好き 豊富な柄、売り場にぎわう」

 

 女同士で旅行に行くと、かばんの中から大小様々な袋物が取り出される。下着入れ、靴入れ、化粧品入れ、メーク道具入れ、中にはエコ時代を反映し旅茶器セットを袋に入れて持ち歩く人もいて、宿の部屋は袋物のオンパレードになる。女性は袋物が大好きだ。

 

 さて、写真の店は化粧ポーチや大型バックまで、女性が日常に使う大小様々な袋物を製造販売する東京・渋谷にある「ヨシイマミ」という雑貨ショップだ。型はどれもシンプルなのだが、圧巻なのは柄のバリエーションで、海外から毎日約三十~五十のプリント地を輸入してつくられる。ポーチ一型に付き三十種類もの柄があり、売り場を埋め尽くしている。

 

 「友人にギフトを」と思いティッシュケース(二千円)を手にとったが、三十種類ものプリントが目の前に展開されると「これもかわいいけど、あれもキレイだし……」と悩みがつきなくなり、ティッシュケース一個でずいぶんと時間をかけた買い物になった。

 こんな調子で、店内にフラリと立ち寄った女性たちは、リーズナブルな価格と袋物好き精神から、あれやこれや悩みに悩んでお気に入りのポーチやバッグを買っていく。店内滞留時間はけっこう長くなるし、好きな袋物だから多くの女性が入店してくるので「ヨシイマミ」はいつもにぎわっている。「ヨシイマミ」は吉井真美さんというデザイナーの名前がショップ名となっているのだそうだ。

 

 型そのものに独自性はないが、多種なプリント地を主役にし、布をビニールコーティングする手法で、平凡な商品に奥行きを持たせられることに気付いた吉井真美さんの創造性が、女心をうまくとらえたヒットにつながっている。

 

 

(記:島村美由紀/日経流通新聞「How To 商い」 2008年4月16日掲載)