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2014.01.06

不動産フォーラム21

「女性が輝く日本 2014年」

 

 「サロネーゼ」という言葉をご存じですか?自分の”得意”や”好き”を生かし身に付けたスキルでスクールを開催する女性のことですが、自宅をサロンとして開放しそのこだわりのライフスタイルも生徒に披露して憧れの対象となる女性のことを指します。この数年、30代~50代の素敵なサロネーゼが女性雑誌やテレビに取り上げられ、ちょっとした女性の生き方ブームを喚起しています。

 

 実は私の身近にサロネーゼが誕生しました。なんと75歳の祖母が自宅でハワイアンキルトのサロンを立ち上げたのです。祖母は65歳まで仕事を続け、好きな手芸も長年専門家に付いて習い作品づくりに精を出していましたが、「教わるばかりでなく自分の力を試してみよう!」と思い立ち自宅を教室(サロン)にして40人もの生徒を教えています。久しぶりに会う祖母は活力にあふれ若返っていました。同居する娘一家も祖母の行動力と人生のチャレンジに驚いています。

 サロネーゼに変身した祖母だけではなく、このところ私の身近には「行動する女性」が増えています。クライアント先で10年前から顔見知りのMさんは、その会社における15時まで勤務の育児短時間勤務者第1号として仕事と子育ての両立に奮闘しています。20代の頃はとてもおとなしい消極的な女の子でしたが、30代になり仕事に脂が乗ってきたころに出産し「第1号の時短女性として後に続く後輩のために会社に制度活用が評価されるようがんばらねば!」と気合が入り、以前より魅力的なキラキラした女性になっています。また我が社でも数年前に出産のために退職したOGが、「子供が保育園に預けられるようになったから」とフリーランスとして仕事への参加を始めました。週に3日程度ですが、大ベテランの社員だったOGの復活だけに私もたいへん助かっています。

 

 昨年春、アベノミクス3本目の矢「成長戦略」の中で「女性が輝く日本」として女性の社会進出が主要課題の一つに挙げられました。

 ・2020年の25歳~44歳の女性就業率を73%に(現在68%)・育児休業期間を子供3歳までとしその後の職場復帰支援・第1子出産前後の女性の継続就業率を55%に(現在38%)・男性の育児休業取得率を13%に(現在2.63%)・指導的地位に占める女性の比率を30%に・約40万人分の保育の受け皿設備、ということが政策目標なのですが、目標以前に現在の数値の低さに今までの日本の遅れを感じてしまうのは私だけでないはず・・・。「遅れているなー、古いなー日本は」と思います。

 事実、私が仕事で名刺交換する男女比は95:5で女性の登場が極めて少数で、プロジェクト会議においても女性が役職者として登場する場面はごく稀です。ほんとうに残念ですね、日本の半分は女性なのに・・・。

 女性が社会進出をすると何が良くなるのか?良いことはたくさんありますが、私が一番だと思っていることは”消費拡大”です。

 

 働く女性の調査で、「家事の時短化で使っているものは?」の質問に、1位ネット通販、2位調理済み食品、3位電気ケトル、4位洗濯乾燥機、5位食洗機が、「これから欲しいものは?」にロボット掃除機やハウスクリーニングが挙げられていました。私もまったく同回答です!!忙しい女性は家事の合理化のためにお金を使うものです。さらに自分で稼いでいる女性は”自分へのご褒美”にはけっこうマメで、エステ、旅行、ジュエリー、グルメを楽しみます。私が顧問をしているリゾートホテルでは、専業主婦と働く女性の客単価は2~3倍の差があり、専業主婦の自分ご褒美は3,000円台までで、1回の食料品のスーパー買物金額ぐらいが家族に申し訳の立つたまの贅沢への許容範囲のようですが、働く女性は1万円ぐらいまであまり悩まずクレジットカードで支払っています。女性の社会進出は日本の経済にも貢献度大だと確信します。

 

 昨年来、アベノミクス効果で世の中が穏やかに上昇気流に乗っていますが、失われた20年の中で女性たちの生き方や意識は変化してきました。2014年、今年はその女性の意識の流れが表面化し、日本を元気に動かす新エネルギーになる出来事がたくさん起こりそうな予感がします。

 

 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2014年1月号掲載)