2010.12.22
日経流通新聞
「ルミネのネット通販 実店舗の強み生かす」
11月初旬、首都圏のJRで「iLUMINE(アイルミネ)」の中づり広告が車内を埋め尽くした。東日本旅客鉄道(JR東日本)の子会社ルミネは、新宿など13カ所の駅ビルで2009年度に2592億円を売り上げた。どの館も高感度テナントを集めたファッションビルとして評価が高い。
そのルミネが08年3月に始めたネット通販がiLUMINEだ。「おうちで買えるルミネ」とうたう華々しいトレインジャックは、実験段階から本格事業へのステージアップの動きと推察した。
iLUMINEの中づりでは、男性が「真夜中にジャケットを買った」、女性が「ごほうびはいつもタイミングがいい」とつぶやいている。
ファッションのネット通販を、男性たちは「国内セレクトなどのブランド店の商品であれば、店に行かなくても質やサイズを安心して買う気になる」と評価する。若い女性たちは駅ビルの店で品定めした後、「冷静になっても欲しい服やワードローブから組み合わせを考えて」ネット通販で買う、という具合に賢く利用している。
まさに、iLUMINEの真夜中ジャケットも、自分ごほうびも、今どきのネット通販に対する消費者心理を言い合てている。
実力派テナントを囲い込む著名ファッションビルは、ネット通販をリアル店舗の補完的存在として、または商圏外エリアの売り上げチャンスとして位置付け、他の通販事業者とは異なるビジネス戦略を構築できる。消費者のリアルとネットの2WAYによる利用シーンを生み出す潜在力は大きい。
(記:島村美由紀/日経流通新聞「How To 商い」 2010年12月22日掲載)