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2014.04.04

不動産フォーラム21

マダムたちも心変わり。コンビニ 入れたてコーヒーの美味

 

 「コンビニのコーヒーが美味しい!と、スポーツジムの女子ロッカーで話題になりました。50代専業主婦が集まっていたお風呂場ですが、全員がコンビニコーヒーの愛飲者で、中には「スタンプカードを持っているという毎日利用者もいたほどです。

 

 私にとって予想外だったのは、昨年からヒット商品になっているコンビニコーヒーではありますが、若者やサラリーマンの利用が主なのだろうと思っていたところ、50代の主婦たちにも馴染みの存在になっているという商品の浸透力です。ニュースによると2013年1月に発売開始したセブンイレブンのコーヒーは7月で1億杯突破、12月で3億杯突破、2014年2月で4.5億杯突破見込みだそうで、1店で100杯弱のコーヒーが1日に売れています。

 

 冒頭のスポーツクラブ女子風呂場に話を戻します。「コンビニコーヒーを飲みだしたらスタバとか行かなくなったね」「スタバのコーヒーは高いし待たされるし・・・」と、今まで花形だったシアトル系コーヒー店の話になりました。いつも混雑している印象、出来上がりまで待たされる、若い店員が上から目線で優しくない、あっちで待てと指示される、フードもコーヒーも値段が高い、などなど、今まで潜在化していた違和感がコンビニコーヒーとの比較ですっかり顕在化されてしまいました。つい先日まで駅前のスタバでジム帰りのおしゃべりに花を咲かせていたミセス仲間なのですが、短期間で消費者の気持ちは変わってしまいました。正直私も心変わりをした一人です。だってコンビニは地味に親切なんですよ。

 

 私の体験談をお話ししましょう。昨年春、私のコンビニコーヒーデビューの日、てっきりレジでコーヒーを出してくれるものとばかり思い込んでいた私が空のカップを持たされコーヒーカウンター前でドギマギしていると、レジの女の子がすぐ寄ってきて、手取り足取り教えてくれました。どうも支払い時から「この人、初心者」と若葉マークをつけられていたようで「大丈夫?」とレジ内から注目してくれていたようです。まるでセルフのガソリンスタンドに初挑戦した時のような気分でしたが、女の子のおかげでデビュー戦は失敗せず無事クリアでした。次に最近のこと、2人前のコーヒーがほしくてコンビニへ。「テイクアウトできますか?」の問いに「もちろん!」のレジ男子の返事とともにコーヒー・カップを直立させる組み立て式の厚紙トレイは渡されました。それを持ちコーヒーカウンターでコソコソしていると、くだんの男子が手伝ってくれ「お客さん、2コのカップは対極に置いたほうがバランス取れますよ」と4コ用厚紙トレイの使い方にナイスアドバイスをしてくれました。300~400円払って「赤いランプの下で待て」と言われるより、たった100円でこんなホットな対応をしてくれるなんて「近頃の若いアルバイト君も捨てたもんじゃないわネー」なんて、気分がよくなった生活の一コマでした。

 

 さて、長年若者層をターゲットに展開をしてきたコンビニエンスストアも現在では少子高齢化の影響で若年層集客が減少傾向にある中、逆に中高年の利用客が増加する傾向にあるそうですが、50歳以上の接客にうるさい客層の取り込み強化策としてコンビニではスタッフ教育に力を入れ始めています。特にローソンが展開する「マチカフェ」でレベルの高い接客とコーヒーを提供し、中高年層というコンビニの新顧客創造に精を出しているそうです。

 

 私はまだファンタジスタに会ったことはありませんが、美味しく安いコンビニコーヒーがうるさいミセスたちの心をとらえたことは確かです。これに対抗してシアトル系もまた新たな革新を起こすかも・・・。ちょっと街のコーヒーシーンが面白くなってきそうな予感がします。
 

 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2014年4月号掲載)