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2021.06.01

不動産フォーラム21

気が付くとSDGs 何気にサスティナブル-未来につながる身近なアクション-

  

●エスディジーズって読むんだね!! 
 「SDGs」初めて目にした時は読み方やその意味を“時代の重要キーワード”としてインプットした言葉です。その頃、取引先ビジネスマンの襟にSDGsロゴのカラーホイールバッジが光るようになりましたが、女性に対する微妙な発言や短期間で構造物の改装計画が安易に検討されたりと、バッジとは裏腹な実態がありました。しかし、昨年あたりからようやく「SDGs」コンセプトの認知度が広がり企業活動や個人生活にもSDGs意識が芽生えてきていると実感します。

 

 コロナ禍でもSDGs活動は大手企業を中心に、身近なところで行われています。就業者28万人、約4,300事業所が集まる大手町・丸ノ内・有楽町エリアでは昨年から2030年SDGs達成に向けた地域ぐるみの活動を行っていますが、今年も5月中旬に資源活動や食品ロスやバリアフリー、ウェルビーイング実現等の多岐にわたるトークセッションを100人超の有識者によりオンラインで展開していました。

 
 渋谷では4月初旬、ファッションビルPARCOで「CYCLE」と銘打った全館挙げてのキャンペーンが開かれ、在庫になっている衣料品をリメイクして販売したり環境負荷に対応した商品購入の10%ペイバックが受けられたりと、若年層にファッションの循環に注目したサスティナブルを訴求する活動を行っていました。

 

 気付くとSDGsは瞬く間に私たちの身近でムダや安全・自然・平等・平和等々について日常的に意識するコンセプトとして生活にあらわれ始めたと実感するこのごろです。

 
 

●昔は当たり前、今は旬の“量り売り”
 昨年12月に開業した「無印良品東京有明」は無印の全商品を扱う大型店で、“無印良品の今”がプレゼンテーションされていますが、この店に“量り売り”が目玉企画として導入されています。

 

 例えば食品ゾーンの量り売りは、コーヒー豆・雑穀・ドライフルーツ・ナッツ・チョコレート・パスタ・菓子など約60種類がガラスの筒に入りズラリとそろっています。筒の下部のバルブをひねると少量が出てきて、紙袋で適量を受け止め計量器ではかり値段が印字されたシールをはってレジで精算するというスタイルです。アメリカのスーパーマーケットでは昔からある売り方ですが、日本での本格的取り組みは珍しく、子連れママや20代カップルがトライしていました。

 

 この量り売りは洗剤でも実施され、衣類用、バス用、トイレ用、食器用、アルカリ電解水クリーナー等、複数種の洗剤を100ml単位で持参したペットボトル等の容器に入れて購入。一般商品より1割程度安価になるそうです。

 

 そういえば昭和の話ですが、ソースやおしょうゆ、みそ、豆、お米、お茶は量り売りが主流でした。乾物屋へガラス瓶をもって「ソース2合ください」とか、お米屋へ「お米5升届けてください」が子供のおつかい定番であり、物が豊かではなかった時代の無駄をしない生活だったな、と思い出します。

 

 他には古着回収ボックス設置や余った食品を福祉施設に回す「フードドライブ」等にもこの店は取り組んでおり、地域の来店客と協力しながらサスティナブルスタイルをつくりあげています。

 
 

●スウェーデン1位、日本17位の世界ランキング
 年に1度、世界中のSDGs達成状況を調査したレポートが発表されますが、2020年のSDGs達成ランキング1位はスウェーデンで、日本は17位にランキングされています。

 

 スウェーデンでは100種のゴミ分別から家庭ごみの99 %をリサイクルエネルギー源とする取り組みやスウェーデン政府大臣の半数が女性であり子供の教育にLGBTへの考え方が組み込まれているなど、国を挙げてのSDGs達成への活動が行われているそうです。

 

 実はスウェーデンSDGsスタイルを体験できる場が日本にあります。それはスウェーデンを代表するライフスタイル企業の「IKEA」の日本ショップです。消費電力が85%も少ないLED電球が99円で売られていたり、蓋を取ればそのまま食卓に並べられ節水や時短につながるフードキーパー(食品保存容器)が各種あり、家具等の使用木材の77%はリサイクル木材であったりと館全体が多様なSDGsコンセプトで貫かれています。

 

 昨年、渋谷にも都市型IKEAがオープンしました。一番人気は「IKEAFOOD」で植物由来原料の代用肉でつくったプラントボールを使ったホットドッグや植物由来原料のソフトクリーム等を店頭販売もしているので若者たちの行列が出ました。

 

 このプラントボール等の開発も地球人口が100億人となる近い将来に動物ではなく植物からたんぱく質を取り、増加する世界人口に対しサスティナブルに食を安定供給しようとする考え方から商品が生まれたそうです。店頭でパクリとかぶりついたホットドッグにもSDGsの味付けが、といったところがさすがにスウェーデン企業だと思います。

 
 

 日本は消費と生産のパターンや海洋資源、気候変動への対策、森林管理や生態系保護、世界的パートナーシップの活性化が不足とされ、17位となっています。日々の暮らしの中でSDGsの目配りを忘れず行動することを積み重ねていきたいと思います。

 
 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2021年6月号掲載)