不動産フォーラム21
あれ?!KIOSK変わった!
新デザインKIOSKは好感度UP
地域限定の話題で恐縮です。
先日、東京駅新幹線ホームを歩いているとKIOSKがお洒落にリニューアルされていることに気付きました。オーセンティックな英国調とでもいうのでしょうか。「品の良いお店屋さん。何かステキな物がありそう。のぞいてみようかな!」と誘われる気分にしてくれる佇まいです。好感度がUPしました。
いままでのKIOSKイメージは、ドカンとホームに建ちガサガサと商品がぶら下がり積み上がり、外には段ボールが重なる……用事がない限りは立ち寄らない、誘われる気分には絶対にならないホーム上の雑な存在でした。
すごいぞKIOSK。よくやった!!と新KIOSKを見て私のテンションは上がりうれしくなって何枚もスマホで写真を撮り旅先で友人に見せるほどでした。後日、JR東日本に問い合わせると、昨年1月から東京駅新幹線ホームオリジナルデザインとして登場させたそう。東京駅新幹線の別ホームでは同時期に東海キヨスクも「プレミアムキヨスク」という新デザインで店をリニューアルさせていますが、東日本のデザインが勝ちですね。
気分を良くした私は帰路で東京駅在来線ホームのKIOSKもチェックしてみたら、新幹線KIOSKとは異なるちょっとポップでお茶目感のあるKIOSKになっていて、これも好感が持てます。さっそくネットで調べたら、2015年3月から新デザインが導入されたとのこと。すでに新デザインなって2年間経過。何で気付かなかったのか、私の目も節穴だと反省しました。
同じとは思えないノイジーなKIOSK
さて、そんな楽しい気付きがあった反面、自宅の最寄り駅で数ヶ月前から嫌な気分になることがありました。私の住む街は東京23区内で昔からの住宅地と90年代に大手企業本社が移転した職住エリアであり、1日に10万人が乗車しますが、駅は昔の小さなままで、かなり混雑のある状況です。この小さな駅の狭い改札口付近にあるKIOSKの上部に大型スクリーンが設置され、1日中、JRやKIOSKオリジナル商品の宣伝を流しています。朝夕のラッシュ時、人混みに耐える駅利用者の頭上から音楽やタレントの声がガミガミ・ガンガンと降り注ぎ、夏の暑さも数度上がる不快感です。「KIOSKには寄らない、そのお菓子も買わない、何と無神経な宣伝だ」と、このノイジーなKIOSKに毎日心の中でNGをつぶやく数ヶ月が続いていました。が、よーくよくこのKIOSKを見ると、東京駅で見て好感を持ったポップなKIOSKのデザインにいつの間にかリニューアルされ、おそらく大型スクリーンもリニューアル時に設置されたという事実に気が付いたのは今週のことでした。驚きました。あのKIOSKとこのKIOSKが同じだなんて?!立地やスペースや環境によってデザインの力も様々な表現に変容するものだと勉強になりました。ちなみに、我が社社員全員に、前述の新幹線と在来線KIOSKの写真を見せ、デザインリニューアルを聞いたところ、誰ひとりデザインが一新されていることを知らなかったのです。
濃密KIOSK
改めて新デザインのKIOSKを観察しました。事業者のプレスリリースにあった通り、女性客の要望に応えるファストフードメニューの充実、公共料金支払い等が工夫されていました。前述したような雑なKIOSKイメージは一新され、ガサガサとぶら下がり積み上げられた商品も見事なほどに整理整頓。小さな棚や壁に収められています。もし海外旅行者が気づいたらSNSにアップしそうなテクニックと密度です。
最も変わったと思ったのは、おにぎりやサンドイッチ等の揃い方で、しっかりとした冷蔵ケースに何種ものフードが並べられています。またロールケーキ等の生菓子やヘルシーなマクロビフード等、女性を意識した品揃えになっています。女性といえばフェイスパックや生理用品まで揃えられ男性用には文具や靴下など移動便利の品々が用意されていました。公共料金支払いまでOKと聞くと、まさに新KIOSKのコンビニ化です。
ひょんなことからKIOSKの進化に気付いたのですが、進化は不要なものを切り捨て前に進むことでもあるようで、JR東日本管内では乱立したKIOSKの一部を閉店させたり、オートキヨスクという自販機コーナーにしたりしています。私鉄や別エリアJRではコンビニ大手の駅内導入に切り替えるという合理化を図った企業も多くあります。街のコンビニは好きですが、駅KIOSKまでコンビニになってしまうのはさみしいことです。KIOSKは立派な固有性のある業態として、魔法使いのような手際よい店員さんとともに進化を重ねて残ってほしいものです。
(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2017年9月号掲載)