MAGAZINE

2017.12.01

不動産フォーラム21

私の架空な洋服ダンス

 

 エアーギターなるパフォーマンスから始まってエアードラムやエアーピアノなど、ちょっとした“エアー”ばやりになりましたが、皆様は「エアークローゼット」なるものをご存じでしょうか。少し不思議なネーミングですが、私の周辺には“エアークローゼット”を始めた女性や愛用している女性たちが増えてきたので皆様にご紹介したいと思います。

 

あなたのもう一つのクローゼット

 「エアークローゼット」は2014年12月に新感覚のオンラインファッションレンタルサービスの事業で、月額会費を支払うと自分好みの洋服が自宅に届くという新しいネットサービスビジネスです。
 手順はこんな感じです。まずエアークローゼットのサイトにアクセスし会員登録をします。この時に自分のサイズや好きな色も知らせます。さらに様々なタイプのファッションPHOTOの中から自分の好みのスタイルや着てみたいスタイルをチェックします。登録の時に顔写真や全身写真を送ると、よりその会員の個性が伝えられる仕組みになっています。
 さて、この情報を元にプロのスタイリストがその会員に似合う洋服を3点選出し、宅配にて指定の場所に届けてくれます。3点の洋服はブラウスやシャツ、スカートやボトムといった単品で、この3点内での組み合わせでコーディネイトが可能を基本とし、自分の手持ちの洋服類との組み合わせも楽しめるようになっています。宅配の品にはスタイリストからのメッセージが添えられ、「このブラウスにはこんなボトムとの組み合わせでカジュアルダウンしましょう」というような提案があるのでわかりやすいそうです。
 さて、この3点は何回でも何日でも会員の自由に着てOK。返却する時もクリーニングは一切不要で、着心地や気にいったかのコメントをスタイリストに戻すと、さらにその情報が個人プロフィールに追加され、次のチョイスに役立つというシステムになっています。もちろん本当に気に入った品があれば買い取ることもできるそうです。これで1回のレンタル料(3点)が6,800円也。なるほど、どこかに利用者の架空のクローゼットがあるわけですね!
 安くて便利と情報にたけた女性の間では評判になっています。

 

さっそくお試し「けっこうイケてる!」

 我が社の若手スタッフも女子仲間の噂を聞いてさっそくエアークローゼットにトライしてみると、スタイリストが優秀なのか彼女のナイスなスタイリングができ上がり「これがエアークローゼットですよ」と言わない限り、私たちにはさっぱりわかりません。社内全員で「けっこうイケてるじゃん!!」という評価になりました。服のブランドもファッションビルに出店しているメーカーのブランドで「安心できる」と彼女は言っていました。
 さて、そのスタッフの2回目のエアークローゼット利用になりましたが、ややトーンダウン気味です。「1回目に送られてきたスカートのウエストがゴムだったので、リクエストにゴムはNGと出すと、2回目にはジャストサイズのスカートが送られてきたが、ブラウスはペラペラなシーズンはずれのような安物だった。1回目と違い2回目は知らないブランドばかりで安心感がない」こんな感想でした。この彼女は仕事柄トレンドも熟知しブランドも知っていて、服好きなので「エアークローゼット」のターゲットとしてはややうるさ型かもしれません。エアーの3回目はなさそうな気配です。

 

忙しい女性にレンタルサービスが注目されている

 いろいろ話を聞いてみると、エアークローゼットの利用者は「働くママ」や「多忙な30代女性」が多いようで、「仕事用の服が必要。でもショッピングの時間はないし、お金もあまりかけたくない」という女性たちのニーズにマッチしたオンラインレンタルビジネスというわけです。
 また時代感覚として保有から必要な時に借りるという合理性に価値が見いだされつつあります。私にも経験がありますが、毎日同じ服を着て仕事に行くわけにもいきませんので、ある程度の服をシーズンにそろえるとクローゼットがキツキツになってうんざり。まさにレンタルで服が借りられれば、リアルクローゼットは不要になるわけです。

 

 このようなファッションにおける新機軸のビジネスが生まれ始めています。ある女性に有名な中堅メーカーでは月額5,800円で借り放題。手元における制限は3点までですが、トップス、ボトム、アウター、ワンピース、バッグ、アクセサリーという幅広いアイテムから自分で選べ、かつすべてが新品。60日借り続けたらそれは返品不要。というサービスを始めて話題になっています。新品のみですから返された商品は?という疑問が浮かびますが、それは全て別サイトの中古マーケットで流通させるというシステムが組まれています。
 ファッションは買うから借りる時代にシフトを始めそうですね。

 

 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2017年12月号掲載)