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2020.02.03

不動産フォーラム21

昼時でも棚がスカスカ -コンビニの人手不足が深刻化-

  

 あることからコンビニへクレームを伝えると、店主からお詫びの電話が入りました。が、店主は「申し訳ないのですが、改善は無理なんです」というキッパリとした言葉がかえってきます。
 事の起こりはこんなことでした。

  

●昼時なのにお弁当がないコンビニ
 ある日、会社近くのコンビニへ昼食を買いに行きました。棚を見るとお弁当や惣菜やサンドイッチがほとんどなく、残り物がいくつか置かれているだけです。時間は11時30分過ぎ。まさにお昼時なのに商品がありません。店内を見渡すと、多くの棚がスカスカで商品がなくなっており、まるで閉店をしてしまうような寂しい店内です。立地は渋谷のど真ん中。通行量の多い場所ですから不思議な光景です。しかし、通路には青いラックが積まれていてどうやら新しい商品が入っているようです。商品は届いていますが、荷を店頭に並べていないため売り物の棚はスカスカな状況が推測できました。今まで何度も買物をしてきたなじみのコンビニなので見慣れない状況に驚きましたが、稼ぎ時の昼の時間帯の異変なので、今日はアクシデントでも起こったのだろうと思い、とりあえず残り物のようなおにぎりを買いました。

 
 それから数日後の同時間にそのコンビニへ行くとまったく同じ状況で棚がスカスカ。買えるものがないのです。以前よりひどいことに、ラックを積み上げた台車までも通路に出しっぱなしで、足元をふさいでいます。また、とりあえずの物を買い会計をするとき、どうして連日商品がないのかをレジの男性に問いかけると「商品は届いているんですけど、人手不足で棚に出せないんですよ」との答えです。「あなたが出せば?」と言うと、「自分はレジ担当の派遣社員ですから」との話。「いやー、売る物が並べてないから僕が見てもキビしいなあと思いますよ」とその男性は言います。

 

 こんな人通りが多い繁盛店が人手不足なのかとは信じがたい出来事でした。

 
 

●「改善は無理」はムリもないかも…
 当社のスタッフ達にこの話をしたら、数か月前からこのコンビニでは、昼や夜に棚がスカスカ状況を起こしていることや、外国人スタッフが大勢いたが最近は見かけなくなったという話がありました。

 
 そこで店主と話すことになったわけです。
 「数か月前に外国人スタッフが何人もやめてしまい苦労している。レジは派遣社員で穴埋めしているが、品出し係を雇えない。本来の品出し係は1名いるが、他の業務に追われ手が回らないことがしばしばあり。怒りたくともすぐに辞められてしまうので、外国人も日本人も働いてもらうのは難しい。よって、お客様にはご迷惑をおかけして申し訳ないが、当面改善は無理な状況だ。」と、店主は言います。

 

 人手不足が自分の足元でもこんな状況で起こっていることに私は驚きました。店主の外国人を雇う苦労話や、本部との関係、人件費のかかりすぎで赤字経営、など苦戦を強いられている状況には同情すら感じられ、最後には「まあ、がんばってくだいネ」と店主を励まして電話を切ることになったのです。人手不足は深刻な問題です。

 
 

●Amazon Goは有人店舗
 先日、ニューヨークでAmazon Goに行ってみました。Amazon Goは人的省力化を目指した無人店舗と思っていたのですが、実際に行ってみると、店員は複数人いて、レジ機能はないものの、品出しやキッチン内での調理等で働いています。私は米Amazonのアカウントを持っていなかったのですが、店員に聞くと現金でも可能とのことで、買物をしました。無人店舗ではなく、人の手間をかけるところは有人でレジのようなお客にとっては手間になるところは合理化を図ろうというのがAmazon Goの考え方なのだと知りました。

 
 

 さて最近、例のコンビニをのぞいてみると、11時過ぎであっても棚はスカスカでしたが、何人かの女性スタッフが、まさにこれから棚に商品を並べ始めようとしている光景に出くわしました。おそらく12時には棚はお弁当やおにぎりでいっぱいになってお客様を迎えられるでしょう。

 

 1月初旬のニュースでは、全国企業倒産状況2019年は前年比1.8%増の8383件で11年ぶりの増加。その内、人手不足による倒産は10.1%増の426件と過去最多で人手不足の深刻さが鮮明になったそうです。不安が続きます。

 
 

(記:島村 美由紀/不動産フォーラム21 2020年2月号掲載)